情報伝達の仕組み~シナプスの可塑性による記憶力・学習力の向上~

知識

 

私たちは、日々たくさんの情報を受け取っています。

ポップな音楽を聴いたり、タバコの臭いを嗅いだり、スマホでSNSを見たり。

外部からの情報は、五感を通じて脳へ運ばれます。そして、脳で処理された情報を元に私たちの思考や価値観は出来上がっていきます。

同じ音楽を聴いても、同じニュースを見ても、人によって受け取り方は違います。

パンクロックを聞いて心地よいと感じる人もいれば、騒音と感じる人もいます。
「ウザい」と言われて簡単に聞き流せる人もいれば、何年も心に残る傷となる人もいます。

その違いも身体の仕組みによるものだとしたら、身体について理解を深めることは必要なことだと思いませんか?

情報を処理するまでに、身体はどのような経路を辿り、どのように処理されていくのでしょうか。

 

神経伝達物質

 

五感で受け取った外部刺激は、神経細胞を通じ、電気信号として脳へ伝達されます。
運ばれた電気情報は、シナプスと呼ばれる細胞の結合間に辿りつきます。

しかし、シナプスには20ナノメートルという僅かな隙間があるため、電気信号をそのまま伝えることができません。

そこで、シナプス間では神経伝達物質」と呼ばれる化学物質が放出され、向こう側のシナプスへ辿り着きます。神経伝達物質を受け取ったシナプスは、再び電気信号として神経細胞を通じて脳へと運ばれていきます。

つまり、情報は電気信号化学信号電気信号… と変換を行いながら、脳へとたどり着くのです。

 

シナプスの役割

情報が、電気信号から化学信号へと変化をしながら伝わっていくことがわかりました。

では、なぜそのようなことが起きるのでしょうか。

実は、私たちの脳は日常生活で受け取る全ての情報を処理することができません。
外部情報は、脳が処理できる容量をはるかに超えているからです。

だからこそ、脳へたどり着くまでに、情報を精査する必要があります。

その操作を行なっているのが「シナプス」です。

 

シナプスの可塑性

シナプスは可塑性を持っています。

可塑性とは

外から力を加えたとき、永久変形を生じる物質の性質のこと。

シナプスは、人の経験や体験によって変化すると考えられています。

新しい経験や体験をすると脳が活性化され、シナプスの働きが強くなったり、シナプスの数が増えたりします。

シナプスの働きが強くなれば伝達物質の放出量が増え、数が増えれば接点が増える分、情報をたくさん伝えられる・受け取れるということになります。

このことから、私たちがたくさんの情報を効率的に、高い質で処理を行うためには、絶えず新しい経験、体験をし続ける必要があります。

新しいことを覚えることも、今までしたことがない動きをすることもシナプスに影響を与えます。

 

例えば、初めてスケートに挑戦することを想像して見てください。

最初はバランスを取ることで精一杯だったとしても、何度も挑戦するうちに、姿勢、力の入れ方、体の傾け方などを体感として覚えていきます。その結果、スケートを滑るために必要な情報をシナプスから伝達されるようになるのです。

また、シナプスは「スケートを滑る」という結果だけでなく、それまでに要した過程も記憶することができます。それらの過程は、新たに別も物事に挑戦した時、効率的に習得できる基盤となりうるのです。

まとめ

  • シナプスから放出される化学信号は、私たちの情報処理に影響を与えている。
  • シナプスを活性化させるためには、新しい経験をすること。
  • シナプスを活性化することによって、記憶力・学習力が上がるだけでなく、情報処理能力も上がる。